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短編>冒険のはじまりだ!!

ジャンル>二次創作

「ポケモン不思議のダンジョン 空の探検隊」

 

内容・傾向>原作改変、シリアス

 

注意>

・「ポケモン不思議のダンジョン 時・闇・空の探検隊」のチャプター1が、

アニメのピカチュウとニャースコンビだったらどうなるか、とアレンジしつつ書いた話。

・完全なるノリで書いたので続きません。読み切りです。

・ネタバレ含みますので、閲覧は自己責任でお願いします。

 

了承された方のみ、続きをお読みください☆



耳に入ってくる規則正しい音が心地良い。

これは――波の音?

 

「……――!――!」

 

――誰かが自分を呼んでいる?

 

ピカチュウはゆっくりと瞼を持ちあげた。まず目の前に広がっていたのは、美しいオレンジ色の空。そして、それを遮るように存在する――“大きな猫の瞳”と“三本の頬ヒゲ”と“額に輝く小判”を持つ顔だった。

通称“ばけねこポケモン”と分類される、その嫌というほど見慣れた顔が、ニタァと笑った。

 

「良かったニャ、目が覚めたかニャ」

 

ピカチュウはばっと身を起こすと、地面を蹴散らし、一メートルほど飛びずさって距離を取る。何故、最も会いたくない相手が目の前にいるのだろう。体の毛を逆立て、頬袋に電気を溜めていると、ニャースは慌てたように話しはじめた。

 

「ピカチュウ、待つのニャ!待つのニャ!!ニャーの話を聞いて欲しいのニャ!」

 

話を聞け、と言われて騙された経験、既に数十回あまり。相手の言葉には耳を貸さず、ピカチュウは頬袋に蓄電を続ける。

 

「ニャーにもここがどこだか分からないのニャ。オミャーは知らないかニャ?」

 

両手を広げ必死に話しかけてくる姿。その演技にしては妙に差し迫っている様子に、ピカチュウは一旦蓄電を中止し、周りに目を向けた。

――そこは夕暮れが迫る海岸だった。

 

どこまでも広がる夕焼け空に、同じ色に染められた広大な海。

白い砂浜に、穏やかな波が規則正しく打ち寄せている。

その風景の中に、どこからか宙を漂ってくるシャボン玉のような泡が溶け込み、この世のものとは思えない幻想的な光景を生み出していた。

 

相棒と共に様々な場所を冒険してきたつもりだが、こんな場所は見たことがない。そして、その時になってやっとピカチュウは、周囲に相棒の姿がないことに気がついた。

――正確には“相棒を含む旅の仲間たちの姿も”だ。それは目の前にいる相手も同じらしい。

ピカチュウが警戒を解くと、ニャースもほっとした様子で肩をなで下ろした。

 

「ニャーにもさっぱり分からニャイのニャ。気がついたら、この海岸に倒れてたのニャ」

 

ピカチュウの傍まで歩いて距離を詰めると、ニャースは握られたままの片手を差し出した。

 

「唯一の手がかりは……」

 

そういってニャースが開いた手の平には、不思議な石があった。

今までに見たことがない、不思議な模様が描かれている。『遺跡の欠片』とでも称するべきだろうか、まるでどこかの遺跡の壁画の一部のように思える物質だった。

 

「目が覚めたとき、何故だか握っていたのニャ。でもニャーにはこんニャもの全く見覚えがないのニャ」

 

どんな僅かな情報でも欲しい、と藁にも縋るような眼差しのニャースに見つめられたが、残念ながらピカチュウにも思い当たる節はない。首を横に振るしかなかった。

 

「やっぱりピカチュウも知らないかニャ」

 

ある程度予測はできていたらしいものの、ニャースはガックリと両肩を落とす。そして、今度は突然海の方へ向かうと、両手を口に当ててメガホンのようにして叫び出した。

 

「ムサシー!コジロウー!どこ行ったのニャー!!」

 

夕日に向かって叫びはじめたニャースを横目に、ピカチュウは目覚める前の記憶を辿る。

確か、相棒たちと共にいつも通り旅をしていて、暗くなったので休めそうな場所を見つけ、そこで野宿することに決めたはずだ。いつものように美味しい食事に舌鼓を打ち、満足して相棒の隣で丸くなって眠ったところまでは覚えている。

――眠っている間に何かあったのだろうか……?

 

「――何するのニャ!」

 

その声にピカチュウは、はっと我に返る。気がつくと、ニャースの前には二匹のポケモンが浮遊していた。不気味な赤い口が目立つ青い小さなコウモリポケモンと、ガスを漂わせながら浮遊している紫のボール状のポケモン――ズバットとドガースだ。

どうやら、ピカチュウが物思いにふけっている間に、何か因縁をつけられたらしい。

 

「悪いがこれはもらっておくぜ」

 

ズバットはそう言うと、近くに落ちていた遺跡の欠片を器用に口でくわえると、飛び去ろうとする。その後ろをニャースが追いかけようとするが、仲間らしきドガースがそれを遮ると、煙幕をまき散らした。

 

「ま、待つのニャ!……ごほっごほごほ」

 

二匹の後を追いかけようとしたニャースは、もろに煙の直撃を喰らったらしく煙の中から咳き込む声だけが聞こえてきた。数秒遅れでピカチュウの視界も煙で覆われ、それが晴れた時には二匹の姿は浜辺から消えていた。

 

「あの石ころは唯一の手がかりなのニャ!追いかけて取り返すのニャ!」

 

猛然とした口調でニャースが指し示す方向には、岩場にぽっかりとあいた大きな穴が口を開けて佇んでいた。ピカチュウの目の前で、二本の足でその穴に向かって駆けだしたかに思えたニャースは、しかし途中でくるりと振り返ると、その勢いのまま駆け戻ってきた。

 

「ピカチュウ、何ぼーっとしてるのニャ!オミャーも手伝うのニャ!!」

 

そしてそのまま手を引かれ、ピカチュウも穴の入口まで連れていかれる。

中を覗くと穴は思ったよりも深い……空洞というより、洞窟といった方が正しいようだ。

幸い、岩の隙間から所々光が漏れているらしく、明かりを持ち込まずとも探索できそうなくらい視界は利きそうだ。暗い場所を苦手とするピカチュウは、内心ほっと胸をなでおろしながら、ニャースと共に海岸の洞窟へと足を踏み入れた。

 

 

 

海岸の洞窟はどうやら、波の浸食によって削られてできた自然の洞窟らしい。岩の隙間から海水がちょろちょろと流れ込み、小川を作っている。

足元は柔らかな砂地だが、逃げていった相手はどちらも浮遊している敵。足跡もない状態で追跡など不可能だと思われたのだが、幸いにも洞窟はそこまで広くはない様子だった。道が二手に分かれていたとしても、片方はすぐに行き止まりだったりして、そこまで迷う心配はない。問題点を挙げるとすれば――。

 

「あっまた“アイツ”だニャ」

 

洞窟の岩陰から野生のサニーゴが姿を現した途端、傍らにいたはずのニャースはそそくさと岩陰に隠れてしまう。普段から逃げるのに慣れているのもあってか、こういう時の逃げ足だけは異様に速い。

 

「ニャーは戦うのが苦手なのニャ。あとはよろしくなのニャ」

 

すれ違いざま、お気楽な応援の声だけが聞こえた。ピカチュウは呆れつつも、自分一匹で頑張るしかないだろう、と気を引き締めた。

理由は不明だが、ここにいるポケモンたちは揃って機嫌が悪く、話が通じそうになかった。

最初はそんな事情など知らず、逃げた二匹の情報を収集しようと近づいて話かけた所、いきなりみずてっぽうを喰らい、危うく全身びしょ濡れにされる所だった。

住処を荒らされて怒っているのかもしれないと考え、それ以降、ピカチュウとニャースの二匹は声を潜め、足音を殺して歩くようにしている。それでも狭い洞窟ゆえ、たまにこうして、他のポケモンとばったり鉢合わせてしまうこともあるのであった。

怒り狂ったサニーゴがこちらに気づき、たいあたりを仕掛けてきた所をピカチュウは華麗にジャンプでかわす。そのまま空中でくるっと縦回転しながら、その威力を乗せたままアイアンテールの一撃をお見舞いした。その一撃でサニーゴは昏倒し、砂地に倒れ伏した。

軽やかに着地を決めながら、ピカチュウは耳を澄ませたが、幸いにも他の物音は聞こえてこなかった。バトルが長びくと、その音に釣られて相手をするポケモンが増えてしまい、乱戦になりがちでもあったので是非とも避けたかったのだ。海岸の洞窟ということで、カラナクシやシェルダーなど水タイプのポケモンが多く、またそんなに手強くもなかった点は、救いだったといえるかもしれない。

他のポケモンが現れないことを確認してから、岩陰に隠れていたニャースへ合図を送ると、ピカチュウたちは再び、洞窟の奥を目指して進みはじめた。

 

 

 

洞窟を奥へと進むうち、段々と細かった海水の流れが大きくなっていく。どうやら奥底に近づいているようだ。そして聞き覚えのある、ひそひそ声も聞こえてきた、どうやらあの二匹に追いつけたようだ。

岩陰から覗くと、見覚えのある二匹の姿が見えた。まだこちらには気づいておらず、後ろを向いて話し込んでいる様子だ。奇襲をかけられればと思ったが、生憎隠れられそうな岩などはない。

隣に目配せすると、ニャースは無言で頷いた。どうやら同じ結論に達したらしい。一呼吸置いてから、一斉に足元の砂を蹴って、二匹の泥棒の後ろに躍り出た。その音に気づき、くるりと振り返ったドガースが口を開く。

 

「おやおや、誰かと思えばお前らか」

 

奥地は周りをぐるっと浅瀬に囲まれた砂地だが、幸いにも外へ繋がる穴などはみられない。逃げ場のない完全な袋小路だった。

 

「盗んだものを返すのニャ!それは大事な物なのニャ!」

 

「ほう、やっぱりあれは価値のある物なんだな?」

 

ズバットがニヤリと笑いながら、隣のドガースに目配せする。問題の遺跡の欠片は、彼らの後ろ、浅瀬に浮かぶ台座のような平たい小岩の上に置いてあった。

 

「思ったより値打ちがあるかもしれないな。どこかに売っ払らえば高い値がつくかもしれない。ケッ余計返せなくなったぜ」

 

意地悪そうな笑みを浮かべながらドガースが言う。話し合いで平和的に解決できれば、とピカチュウは考えていたのだが、残念ながらそう簡単に問題は解決してくれないらしい。

 

「返して欲しければ腕ずくで来るんだな!へへっ!」

 

スバットの挑発するような発言に、臨む所だとピカチュウは身構える。傍らにいたニャースも逃げるのかと思いきや、珍しく両手の爪を剥き出し臨戦態勢になっている。流石にここまで来て逃げるという選択肢はないようだ。

頭数は二対二と同数だが、相手は浮遊している上に、こちらは足をとられやすい柔らかな砂地。相手の出方を窺って、隙を突いて攻撃するのが良さそうだ、とピカチュウは判断した。

均衡を最初に破ったのはドガースだった。身体を膨らまし、再び煙を吐き出して視界を奪おうという算段だろう。そうはさせるか、と膨らみはじめたドガースに向かって、ピカチュウは文字通り、でんこうせっかの速度で近づき、弾き飛ばす。ドガースは数メートル吹き飛ばされ、その軽い身体は砂地をごろごろ転がった。

羽ばたきの音に振り返ると、ズバットがニャースに飛びかかっていく様子が見えた。ニャースはすれ違い様に爪でひっかこうとしたようだが、その攻撃はあえなく空振りに終わっていた。

迫りくる気配を感じて振り返ると、吹き飛ばした筈のドガースが目前に迫っていた。たいあたりを喰らい、今度はピカチュウが砂地をごろごろと転がされる。追撃されては堪らないと、ピカチュウは素早く身を起こす。戦況は五分と五分といった所か。だが足元は足をとられやすい砂地ゆえ、この状況下では空中を浮遊している相手が絶対的に有利だ。10まんボルトでも当てられればいいのだが、相手が動いているだけに的を絞るのが難しい。まずは動きを止めるのが先決だ。

その結論に至ったピカチュウは、くるりと敵に背を向けるとでんこうせっかで距離を取り、軽やかに岩場を駆け上がった。戦場を見下ろすと、ニャースはズバットを相手に思ったよりも善戦しているようだった。牙を剥いたきゅうけつ攻撃を爪で凌いでいる。

 

「しつこいの、ニャ!」

 

拮抗状態だったのをニャースは言葉と共に気合で押し返す。バランスを失ったズバットは、空中でよろめいた。その隙を逃さず、ニャースは足元の砂を拾うとズバットに向けて投げつけた。ズバットには目が存在しないので、すなかけにより視覚を封じるということはできない――しかし、ズバットにも口は存在する。

至近距離から口に砂を放り込まれたズバットは、吐き出そうと激しく咳き込こんだ。余裕が生まれたニャースは視線に気がついたのか、ピカチュウの方を見上げる。

 

「ピカチュウ、前ニャ!」

 

その警告にピカチュウが我に返った時には、再び目前に迫るドガースの姿があった。即座にかわす猶予はないと判断し、ならば迎え撃つまでと覚悟を決める。ギリギリまでドガースを引きつけ、寸での所で横回転しアイアンテールを繰り出した。ゼロ距離で打ち込まれたアイアンテールの威力に、ドガースはボールの如く打ち出された威力そのままに、ズバットのいる方向へと吹っ飛ばされる。

ニャースのすなかけ攻撃からようやく立ち直ったズバットの視界に映ったのは、目前にまで薄肉した仲間の姿だった。慌てふためいたものの時既に遅く、ズバットはドガース共々岩肌へと叩きつけられる。

二匹がまとまって動けなくなっているその隙を逃さず、ピカチュウは空中へと飛び上がる。頬袋へ電気エネルギーを溜め込むと、動かない二つの的へ一斉に10まんボルトの電撃を浴びせた。その強烈な一撃に、二匹はぷすぷすと煙をあげる黒焦げの塊と化した。

 

「イテテテ……」

 

「ううっ……。や、やられた……」

 

ピカチュウは砂地へ華麗に着地を決めると、隣にやってきたニャースとハイタッチをかわした。ハイタッチをかわした後で、一瞬ちょっと心を許し過ぎたかなとも思ったが、まぁよしとしよう。

 

「く、くそう……。こんなヤツらに負けるとはな……」

 

そう言いながら、ドガースはふらふらと浮かび上がる。身体の周りを覆うガスは、まだぷすぷすと焦げ臭さを漂わせている。

 

「ちぇ。あれは返してやるよ」

 

同じくふらふらと浮かび上がったズバットは、遺跡の欠片を一瞥しながら苦々しげに言い放つ。

 

「ケッまぐれで勝ったからっていい気になるなよな!」

 

「お、覚えてろ!」

 

先にドガース、続いてズバットが捨て台詞を吐き残し、彼らは洞窟の暗がりへと姿を消していった。

二匹が去った後、奥地は乱闘などなかったような静けさを取り戻し、どこからか流れ込む海水が岩肌に当たる、せせらぎの音だけが響いていた。

 

 

 

「や、やっと脱出できたのニャー」

 

海岸の洞窟を脱出した途端、安堵からかニャースは夕暮れの砂浜に座り込んだ。ピカチュウも少し距離を取りつつ、ちょうど良い大きさの石に腰掛ける。夕焼け空の色は先ほどとそう変わらない色合いだったので、体感よりも時間は経過していなかったらしい。ニャースの安堵も解らない訳ではないな、とピカチュウは先ほど違和感を覚えた“ある事柄”について思いを馳せた。

それは、二匹から遺跡の欠片を取り返した帰り道でのことだった。初めて訪れた場所な上、道をはっきりと覚えている訳ではなかったのだが――“行きと洞窟の構造が異なっている”ような気がしたのだ。短時間で洞窟が形を変えるなどという、魔訶不思議な現象などある訳ないと思うのだが……まぁ脱出できたので、とりあえずは良しとしよう。

唯一の手掛かりらしい遺跡の欠片は取り戻すという目標は達成できたものの、さてこれからどうしたものか、とピカチュウが思案していると、早くも疲労から立ち直ったらしいニャースが話しかけてきた。この脅威の回復力が、毎度懲りずに挑んで来られる原動力の一つなのかもしれない。

 

「ピカチュウ、さっきはありがとうニャ。お陰で無事に謎の欠片も取り戻せたのニャ。流石はニャーが見込んだだけの存在ニャ」

 

真正面から素直にお礼を言われるとは思っておらず、ピカチュウは内心ちょっぴり照れてしまう。それを知ってか知らずか、ニャースは言葉を続ける。

 

「もうすぐ日が暮れるニャ。とりあえず野宿できそうな場所を探したいのは山々ニャのだが……その前に一つ提案があるのニャ」

 

“提案”という言葉に、ピカチュウは首を傾げて続きを促す。

 

「ここは一旦、『停戦協定』を結ばないかニャ?」

 

思いもよらぬ提案に、ピカチュウは目を瞬いた。

 

「ここは知らない土地ニャ。ピカチュウ、オミャーは強い。さっきみたいにニャにか問題があっても、オミャーがいればきっと解決できるのニャ。『昨日の敵は今日の友』とも言うし、とりあえず当面は協力して乗り切るのニャ」

 

そういってウインクを決めながら、ニャースは片手を差し出して握手を求めてくる。ニャースの提案に、乗るべきか否かピカチュウは考えた。

確かにバラバラに行動するより固まっていた方が、いざという時に助けあえるというニャースの案には一理ある。信頼するには疑わしい相手だが、他に取るべき有効手段も思いつかない。

それに結局――なんだかんだで敵とはいえ、憎めないこいつを置いてはいけないのだ。

相棒と同じく自分も甘いなぁ、と思いつつも、ピカチュウは差し出された手を握る。

 

――そうして、ここに何度目かの共同戦線が張られたのであった。

 

* * *

続きそうで続きません(汗)

今後の展開的に、原作から色々改変しなければいけない設定が多くて面倒なので。

 

ふと説明書を眺めていて、ピカチュウ&ニャースコンビだったらアニポケっぽいよなぁと思って、ノリで書きました。

ピカチュウの雰囲気を崩さずに書こうと思った結果、こういう書き方になりましたが、上手く書けてますでしょうか?

 

タイトルは映画「おどるポケモンひみつ基地」EDより。

[ 2019/04/16 00:00 ] 物書き書庫 | TB(-) | CM(-)
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Author:白井イヴ

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