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短編>白き人

ジャンル>クロスオーバー
「ヒカルの碁」×「千と千尋の神隠し」

 

傾向>日常系、ファンタジー

 

注意>
・ヒカルが大人になった頃(?)の話。

・「尋ね人」と対になる話ですが、内容はつながってません。

 

了承された方のみ続きをお読みください☆


○●白き人●○
 

「まっずいなー、完全に迷った」

 

ヒカルは地図を手に、独り人気のない路地で途方に暮れていた。

今日の指導碁の相手の家へ行くのははじめてだったのだが、その辺りの土地は以前にも何度か訪れたことがあったので、ヒカルは気楽に考えていたのだ。

再開発で道が入り組んでいるから、と依頼主が念を入れて地図も渡してくれたのだが――まさか、再開発でここまで雰囲気が変わるとは、ヒカル自身予想していなかったのだ。

この頃、ようやく慣れ始めた携帯電話で連絡しようにも、あいにく圏外。

地図と睨めっこするも、自分がどこにいるのかすら分からない。

人に道を尋ねようにも、だいぶ道を外れてしまったらしく先ほどから誰ともすれ違わない。

歩いていれば、何か目印になりそうなものが見つかるだろうと思い、ため息をひとつ吐いてから、ヒカルは再び路地を進みはじめる。

 

路地を暫く歩いていくと、目の前が突然開けた。

ヒカルは驚きに目を見開く。

そこには、とうとうと流れる川が横たわっていた。

決して、大きい川という訳ではない。

だが、その流れは穏やかで底まで見通せそうだ。

ヒカルが子供だったら、泳ぎに入ろうと考えたかもしれない。

 

「……川なんて、地図にあったっけ?」

 

そう呟きつつ、川下に視線を動かしたヒカルは、川の傍に佇んでいる人影を発見した。

やっと、道を聞けそうな人がいたと、その少し遠くにいる相手の背中に届くように、ヒカルは両手で口をメガホンのように囲って、呼びかける。

 

「すみませーん!道をお聞きしたいんですがー!」

 

ヒカルは、そう呼びかけてから、その人物が少し変わっていることに気が付いた。

まるでどこかの舞台か神社から抜け出してきたような、白を基調とした古風な衣装。

ヒカルの脳内に思わず“彼”の姿が浮かぶが、そんな訳はないと頭を振る。

――けれど、その少年が振り返ってヒカルの方を見た時、ヒカルは驚きのあまり声が上ずってしまった。

 

「と、塔矢!?……じゃないよな。身長縮む訳ないし」

 

その少年の顔立ちは、彼のライバルの出会った頃にそっくりだったのだ。

今でこそ、身長も髪も伸びた彼だったが、昔の彼と目の前の少年を並べれば、それこそ兄弟にしか見えないだろう。

 

少年の方も、ヒカルに声をかけられるとは思っていなかったらしい。

目を丸くして固まっていたが、驚きから立ち直ると、足早にヒカルの傍へやってくる。

 

「どうやってこちらへ?」

 

「どうやって?って、普通に歩いてきたんだけど。……なぁこの川ってなんて川?地図に載ってないみたいなんだけど」

 

「……地図にはない川ですよ」

 

「へ~、こんくらいの大きさの川じゃ地図には載らないのか」

 

一人納得するヒカルに、少年は控えめに声をかけてくる。

 

「迷われたようですが、行き先はどちらですか?」

 

「あぁ、えっと……ここに行きたいんだけど」

 

ヒカルは、少年にも見えるように地図見せながら、目的地を指し示す。

少年は地図を覗き込むと、頷き――

 

「ここなら分かります。案内しますのでついてきてください」

 

そう言って、さっさと歩き始めた。

ヒカルも遅れまい、と慌ててその背中を追いかける。

幸い、大人と子供だ。

歩幅が違うので、すぐに追いつく。

隣に並んだヒカルは、改めて少年を観察する。

 

――やっぱ、昔の塔矢に似てるよなー。服装は“アイツ”に似ているけど。

 

ヒカルの視線に気が付いたのか、無言で歩いていた少年は歩みを止め、ヒカルを見上げる。

 

「私に何か御用でしょうか?」

 

「いや悪い。オレの知り合いとお前がそっくりだったから、ちょっと驚いちゃってさ。……お前もしかして、親戚に『塔矢』っていねえ?」

 

「いません……それだけですか?」

 

「あ、うん」

 

「では、急ぎましょう」

 

そういうと少年は先ほどよりも早足で歩きはじめる。

冷めた反応も塔矢に似てるなー、とヒカルは一瞬思ったが、すぐに少年を追いかけなければと、気が付き、再び後を追いかける。

 

どのくらい路地を歩いただろうか。

曲がりくねった道を少年について歩いていくと、やがて開けた場所に出る。

その見覚えのある光景に、ヒカルは顔を輝かせた。

 

「おっ!」

 

「ここまで案内すれば、分かりますか?」

 

「あぁ、うん。ここなら知ってる」

 

「では、私はこれにて失礼いたします」

 

去っていこうとする少年にお礼を言おうと思い、ヒカルは呼び止めようとしたが、その時、ポケットに入れていた携帯電話が震えはじめた。

ディスプレイに表示された名前は、日本棋院だ。ヒカルは慌てて電話に出る。

 

「はい、進藤です!」

 

『進藤先生?……あぁ良かった、やっとつながった。何かあったんですか、今どこです?』

 

「あぁ、すみません。オレ、迷子になっちゃったみたいで。今やっと戻ってきたところです」

 

『お約束の時間もだいぶ過ぎたので、依頼人の方が心配されていたんですよ。何度もお電話したのですが、ずっと繋がらなかったので、何かあったのではないかと……』

 

「心配かけてすみません、すぐ向かいますから」

 

そういうとヒカルは携帯電話を切り、そういえば少年にまだお礼を言ってなかったと振り返ったのだが――

 

「あれ?」

 

通ってきたはずの路地を振り向けば、そこは行き止まりの袋小路で。

どういうことだろう、と首を傾げ考えるも、すぐに指導碁の客を待たせていることを思い出し、ヒカルは慌てて駆け出した。

○●○●○

ヒカルとハクの遭遇話。

幽霊である佐為が見えたヒカルなら、彼のことも見えそうだよなぁと思って。

 

ハクって顔はアキラ似だけど、服装は佐為に似てますよね。

あと個人的かもしれませんが、イメージが龍ってのも、アキラとハクの共通点かも。

 

あと、個人的な意見をもう一つだけ。

ハクの名前の由来である「琥珀川」……その「琥」って「虎」って字を含むんですよね。

私の中では「虎」=「ヒカル」のイメージなので、その偶然に気が付いた時は鳥肌が立ちました(驚)

 

[ 2015/01/05 22:06 ] 物書き書庫 | TB(-) | CM(-)
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